世界的ソプラノ、ルネ・フレミングの演出家デビュー公演が大成功

アスペン音楽祭《コジ・ファン・トゥッテ》は大成功で幕

2025年7月21日、23日、26日にコロラド州アスペンのウィーラー・オペラハウスで上演された、ルネ・フレミング演出によるモーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》が全日程を終了しました。世界的ソプラノが初めて挑んだ演出は、従来の枠を超える大胆な設定と若手歌手たちの熱演で、大きな話題を呼びました。

プロレス×オペラという大胆な舞台設定

今回の《コジ》は、18世紀ナポリの物語を現代アメリカの大学レスリング部に置き換えた斬新な演出。男性陣はレスリング部員、女性陣は自己発見やキャリアに揺れる学生として描かれ、舞台上にはレスリングマットやスパンコール付きのコスチュームが登場しました。笑いとリアルな感情表現が巧みに織り交ぜられ、観客からは驚きと称賛の声が上がりました。

批評家からの高評価

地元紙《Aspen Times》は「細やかな人物描写とテンポの良さが光り、音楽と動きが一体となった舞台」と評し、特に終幕の新解釈を高く評価しました。従来の“男女が元に戻る”結末を改め、女性たちが自立して歩み出すラストは「現代的で勇気ある選択」と話題に。

AP通信も「フレミングは演出家としての自然な資質を発揮し、若手歌手の魅力を最大限に引き出した」と報じています。

若手キャストの輝き

出演者は全員、アスペン音楽祭の育成プログラム「Aspen Opera Theater and VocalARTS」に参加する若手プロフェッショナル。特にメゾソプラノのアシュリン・ブラウン(Dorabella役)は、プロレスラーの祖父を持つ経歴と舞台設定が重なり、強い存在感を放ちました。

今後への期待

今回の公演は、オペラの新しい可能性を提示する成功例として記憶されるでしょう。今後、より大きな劇場での再演やツアー公演への期待が高まっています。


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この記事を書いた人

音楽大学大学院でオペラを専攻後、ドイツ・オーストリアに留学。ヨーロッパ各地のオペラハウスの舞台に立つ中で、音楽界の多様性と奥深さ、そしてそのスピード感に魅了される。
帰国後も音楽活動を続けながら、「日本にもっと世界の音楽情報を届けたい」という思いでThe Aria Timesを立ち上げる。
好きなオペラはR.シュトラウスの『ばらの騎士』、最近気になる歌手はSaioa Hernández。美味しいものを食べることと料理を作ることが大好き。子育てに奮闘中。​​​​​​​​​​​​​​​​

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