ロイヤル・オペラ・ハウス 終演後にパレスチナ旗 舞台上で小競り合いも

2025年7月19日、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスで上演されたヴェルディ作曲《イル・トロヴァトーレ》の千秋楽カーテンコール中、出演者の一人がパレスチナの旗を掲げ、舞台上でスタッフと揉み合いになる一幕がありました。この行動は、観客だけでなくオペラ界全体に波紋を広げています。


目次

目次

  1. 出来事の背景
  2. 旗を掲げたのは誰か
  3. 現場の様子と観客の反応
  4. ガザ情勢と芸術表現
  5. 議論の広がり

出来事の背景

事件が起きたのは、ロイヤル・オペラ・ハウスで6月末から上演されていた《イル・トロヴァトーレ》の最終公演。終演後のカーテンコールで、舞台は祝賀ムードに包まれていました。ところがその最中、出演者の一人がポケットからパレスチナ旗を取り出し、胸の前で広げたまま立ち続けました。


旗を掲げたのは誰か

旗を掲げたのは、ダンサーで振付家の ダニエル・ペリー(Daniel Perry)。英国の名門芸術学校 Tring Park School for the Performing Arts の出身で、これまでもガザ情勢に対する強い関心を公にしてきました。過去には「Free Palestine」とプリントされたシャツを着て舞台に立ったこともあり、今回の行動も一貫した姿勢の延長と見られています。


現場の様子と観客の反応

旗が掲げられると、会場は一瞬静まり、その後には拍手や歓声、そして困惑のざわめきが入り混じりました。舞台袖から駆け寄ったオペラ・ディレクターのオリバー・ミアーズ(Oliver Mears)が旗を取り下げようとし、短い押し問答に。中には「無礼だ」と声を上げる観客もいたと報じられています。劇場側はその後、「舞台上での政治的メッセージは認められない」との方針を改めて表明しました。


A performer holding a Palestine flag triggered a brief scuffle on stage at the Royal Opera House in London on Saturday.

ガザ情勢と芸術表現

ペリーの行動は、ガザで続く人道危機に対する抗議と連帯を示すものでした。ロイヤル・オペラ・ハウスは過去にウクライナ侵攻の際、建物をウクライナ国旗の色にライトアップし、国歌を演奏したことがあります。この“扱いの差”に疑問を呈する声は内部からも上がり、芸術の場が政治的立場を示すことの是非が改めて議論されています。


議論の広がり

今回の出来事は、舞台芸術と政治的表現の境界線をめぐる議論を呼び起こしました。支持する人々は「芸術は社会問題を映す鏡である」と主張する一方、批判派は「観客が芸術を純粋に楽しむ場を乱す行為だ」と反発しています。オペラ界は芸術表現と時代の動きが密接に関わり合いながら歩み続けるでしょう。正誤を判断するのではなく、各々が深く思考し、自らの見解を形成することに大きな意義があると考えます。


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この記事を書いた人

音楽大学大学院でオペラを専攻後、ドイツ・オーストリアに留学。ヨーロッパ各地のオペラハウスの舞台に立つ中で、音楽界の多様性と奥深さ、そしてそのスピード感に魅了される。
帰国後も音楽活動を続けながら、「日本にもっと世界の音楽情報を届けたい」という思いでThe Aria Timesを立ち上げる。
好きなオペラはR.シュトラウスの『ばらの騎士』、最近気になる歌手はSaioa Hernández。美味しいものを食べることと料理を作ることが大好き。子育てに奮闘中。​​​​​​​​​​​​​​​​

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